三極管

買ったものを書きます

ケン・リュウ『宇宙の春』

ここしばらくケン・リュウの短編集を読み返していて、そろそろ3冊とも読み終わるかな、というタイミングで4冊目が出た。

宇宙の春 (新☆ハヤカワ・SF・シリーズ)

宇宙の春 (新☆ハヤカワ・SF・シリーズ)

ケン・リュウの著作は、早川書房からは、まず「新☆ハヤカワ・SF・シリーズ」という新書版の大きさで出て、しばらくしてから文庫化される。大きな本屋に行かないと見かけることが無いのが残念なのだけど、サイズといい、ビニールで包まれた装丁といい、割と好きな形態。


短編がやたら充実しているケン・リュウだけど、本当に毎回バラエティに飛んでいるし、プログラマーとしての経歴があるので、技術的な用語の使い方に違和感が無いのが安心できるところ。いろいろなプログラミング言語の名前が出てくる(ただし、訳者のセンスもあるけど、「Perl」は「パール」とは書かないかな...)。

中国・アメリカだけでなく、日本を題材にしたものが多いところも日本で人気な理由だと思う。

今回も731部隊を扱った「歴史を終わらせた男ーードキュメンタリー」はなかなか日本では書けないと思うのだけど、最後までぐいぐい読ませた。

宇宙や、クラウド、歴史もの等、「本当に同じ人が書いたの?」と思わせる量と、幅広さ、アイディアの面白さが揃っていて、どれも読む価値がある。ただ、なんというか、一貫して、物語が”静かに進む”感じが有って、それがまた良かったりする。

おすすめです。


最初にケン・リュウの著作を読むとすれば、『紙の動物園』という意見が多いと思うけど、『もののあはれ』も捨てがたい(Kindle版だと両方一冊で読める)。

もののあはれ (ケン・リュウ短篇傑作集2)

もののあはれ (ケン・リュウ短篇傑作集2)

紙の動物園 (ケン・リュウ短篇傑作集1)

紙の動物園 (ケン・リュウ短篇傑作集1)

紙の動物園 (新☆ハヤカワ・SF・シリーズ)

紙の動物園 (新☆ハヤカワ・SF・シリーズ)